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大豆300Aレポート#10

技術顧問によるワンポイントアドバイス

〜【大豆300AレポートNo.4(後編)】高品質・多収栽培を実現するための雑草対策のポイントについて〜

【大豆300AレポートNo.4(後編)】高品質・多収栽培を実現するための雑草対策のポイントについて

大豆の収量・品質の向上には、雑草対策が欠かせません。雑草対策のポイントを、クボタの松永亮一技術顧問が解説します。
(この記事は、平成27年7月27日発行のクボタの営農ソリューション『大豆300AレポートNo.4』を元に構成しています)

クボタ技術顧問が動画でワンポイントアドバイス!→解説動画はこちらから

大豆づくり名人は雑草取り名人

 昔から「畑作は雑草との戦い」と言われており、大豆を栽培する上で雑草対策は切っても切り離せません。発生する雑草は土壌条件によって種類も違いますし、気象条件でも毎年発生量が違ってくることから、雑草対策については臨機応変に対応することが重要で、発生する雑草を見て適切な技術を用いて適期に防除していくことが重要です。
 いくら良い技術があっても、適期にできないとなれば、効果は激減します。ですから、雑草の出方を見て、雑草の発生が早いなと思えば、計画を前倒してでも除草します。
 「大豆づくり名人は雑草取り名人」でもあります。雑草が多発すると、大豆が雑草との競合に負け減収することと、収穫時に汚損粒が発生しやすく品質低下につながります。大豆の場合、数量払いの交付金は収量・品質が高ければ高いほど、単価も上がりますので、高品質の大豆を多く収穫できれば、品物の代金に加えて、交付金も増えるという二重のメリットがあります。雑草対策は大豆作で収益を上げるためには必須の課題です。

雑草対策のポイント

 大豆を連作すると防除の難しい雑草が増えてくるので、水田に戻す必要があります。前年が水稲で翌年に大豆をつくる場合、イネ科の雑草が多くなりますが、イネ科雑草は広葉雑草と比べると薬剤による除草効果が高いので、比較的楽に除草ができます。しかし、連作を続けると広葉雑草や広葉の中でも防除が難しい雑草が増えてくるので、大豆の連作を止め水稲との輪作を行うことが有効な雑草対策になります。さらに、失敗しない播種技術と排水対策もまた雑草をはびこらせないためにも重要な技術です。機械や薬剤による直接的な除草対策だけを考えるのではなく、大豆作全体で考えることがポイントです。
 機械除草は、除草剤散布に比べ低コストですみますが、実際にはそれだけでは難しいため除草剤を併用するのが一般的です。雑草対策は全圃場を同じやり方で行う必要はありません。圃場ごとに雑草の出方を見て、どのような除草対策を行うのが最適なのか検討し、特にコストのかかる生育期の非選択性茎葉処理剤の散布は必要な圃場だけに留めます。
 除草技術として播種前の耕うん/非選択性除草剤の散布、播種直後の土壌処理剤の散布、2回の中耕・培土が基本で、それに加えて、大豆バサグラン+イネ科除草剤の全面散布が必要な圃場が多くあります。生育期間中の非選択性除草剤の散布は最後の手段と考え、2回目の中耕・培土作業の前までには非選択性除草剤による除草が必要な圃場を見極めることが経営的にも一番良いと思います。

耕起播種前・播種直後の除草剤散布について

 耕うん同時うね立て播種の場合、事前に耕うんしないので播種前に非選択性除草剤で、生えている雑草を枯らしておく必要があります。播種時の耕うんだけでは雑草を完全に防除できないからです。
 播種直後に散布する土壌処理剤は、播種直後に発芽してくる雑草を抑えるための剤で、大豆が発芽する前に散布する必要があります。土壌処理剤は、土壌の砕土が悪かったり、土壌が乾燥し過ぎていると、土壌表面に除草剤の膜が出来づらくなるので、除草効果が劣り、初期の雑草発生が早くなることがあるので注意します。 
 また、散布後に大雨があると、流れてしまうことがあるので、できれば播種直後、土壌があまり乾燥していない時期に素早く散布することがポイントになります。

大豆バサグラン+イネ科用除草剤の全面散布

 土壌処理剤は最高で1ヶ月ぐらいは効果が期待できますが、条件が悪ければ、播種後2、3週間目でも小さな雑草が見え始めることがあります。このような場合は大豆バサグラン(大豆2葉期以降)+イネ科雑草用除草剤の全面散布時期を早めるのが効果的です。
 この組み合わせの特徴は圃場に全面散布できることです。中耕・培土では株元・株間の除草効果が劣りますので、第1回目の中耕・培土作業の前であっても株元・株間に除草剤が届き易い時期に散布することが効果的です。
 ただし、大豆バサグランの散布は大豆の葉に薬害が生じます。枯れることはありませんが、日中の暑い時期の散布は薬害を助長しますので、午前中の散布がお勧めです。

中耕・培土について

 第1回目の中耕・培土の主な目的は除草です。播種後の土壌処理剤の効果が切れた後に生えてくる小さな雑草を除草しますが、まだ、大豆が小さいので、十分な培土は難しく株元・株間の除草が劣ります。雑草が多い圃場では前述の大豆バサグラン+イネ科用除草剤の全面散布を併用すると良いでしょう。
 2回目の目的は除草に加えて土寄せが重要となり、倒伏防止も兼ねます。年によって違いますが、1回目は播種後1ヶ月後ぐらい。2回目は45日前後で開花期前に済ませておきます。開花期以降は根が広がってくるため、中耕で根を傷めることがあるので、遅すぎると大豆の生育にとって逆効果になります。また、根が傷つくと大豆黒根腐れ病菌の感染を助長することになります。
 培土は倒伏防止には良いのですが、あまり高くし過ぎるとコンバインの収穫時に土の掻き込みをしないように高刈りをして、刈り残ししてしまったり、汚損粒が発生してしまったりすることがあるので、1回の中耕・培土は子葉が隠れる程度、2回目は第1本葉ぐらいまでの高さに土寄せします。 

生育期の非選択性除草剤散布について

 前述のように生育期間中の非選択性除草剤の散布は雑草対策の最後の手段ですが、アサガオ、ホウズキ類などの難防除雑草が生えていた圃場では必須の技術となります。
 ただし、非選択性除草剤といえども、頭から散布できなくなるまで雑草が大きくなると枯らすことができなくなります。
 特に初期の雑草は短期間で大きく生長するので、できるだけ早く、2回目の中耕・培土頃までには散布の要否を決定します。散布には吊り下げノズルを使用しますが、ドリフトにより大豆が枯れることがありますので、慎重に行う必要があります。 

うね間・株間に安定して散布できる吊り下げノズル「万能散布バー」について

 中耕・培土をすることにより、株間・株元に土を被せて雑草を枯死させることもできますが、土を被せただけでは完全に枯れず、また出てくる雑草があります。さらに、アサガオ類のようにダラダラと出芽してくる雑草も機械除草が難しくなります。一般的な吊り下げバー式では、バーでノズルが固定されているので障害物に当たるとそれにバーが引っかかってしまいます。また、傾いてしまうと除草剤が大豆上部までかかって、大豆が枯れてしまうこともあります。
 「万能散布バー」は、ソリ型のバーを引きずる方式で基部をゴムで固定しているので前後左右、一本一本が自由な形で動き、凹凸があっても柔軟に対応できます。従って作業性が非常に良く、高能率な吊り下げノズルバーです。

狭畦栽培における除草対策について

 狭畦栽培では、播種前の耕うん/非選択性除草剤散布、播種直後の土壌処理剤の散布に加えて、大豆バサグラン+イネ科除草剤の全面散布が基本となります。
 これでも雑草が取り切れない場合は狭畦でも入ることのできる除草カルチや吊り下げノズルバーを使う方法があります。除草カルチの場合、大豆個体を引き抜いたり、水分が多い圃場(除草後に降雨がある場合も)だと、引き抜いた草が再生してしまうことがあるので、注意が必要です。ただ、除草剤を使うよりコストが抑えられるので、機械の特徴を良く理解して使えば有効です。
 一方、吊り下げノズルを使って非選択性除草剤を散布する方法では、前述の「万能散布バー」がより的確に除草できる技術と言えます。狭畦栽培の雑草で悩んでおられる生産者の方にはお勧めです。

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(用語解説)

●一年生雑草
一年で枯れてしまう雑草。種子によって繁殖する
●多年生雑草
生育期間が2年以上にわたる雑草。地上部が枯れても地下部の栄養繁殖器官が生き残り、その後の好適な条件で萌芽、再生する
●選択性除草剤
作物には害がなく雑草だけを防除する除草剤
●非選択性除草剤
雑草だけでなく作物も同時に枯らしてしまう除草剤
●土壌処理剤
雑草がまだ生えていない土の表面に散布して雑草が生えてくるのを防止する除草剤。薬剤は土壌の表面近くに処理層と呼ばれる層を作り、種子から伸び始めた雑草の芽や根から吸収され、雑草が生育する前に枯れる
●茎葉処理剤
雑草の地上部にかけることで葉や茎の表面から吸収され、雑草を枯らす除草剤。
①土壌の種類に左右されない
②発生雑草の種類・密度を確認してから処理できる
③散布期に幅がある
④土壌中での残留が短い。などの特長がある



大豆300Aレポート バックナンバー
#01 【大豆300Aレポート】連載開始!
#02 【大豆300AレポートNo.1(前編)】徹底的な排水対策で単収300kgを目指す!
#03 【大豆300AレポートNo.1(後編)】排水性を大きく向上させる「地表排水」と「地下排水」
#04 【大豆300AレポートNo.2(前編)】継続した土づくりで、地力改善!
#05 【大豆300AレポートNo.2(後編)】大豆多収のための土づくりのポイント
#06 【大豆300AレポートNo.3(前編)】耕うん同時うね立て播種で重粘土壌を克服!
#07 【大豆300AレポートNo.3(中編)】ほ場条件ごとにオススメの播種法と機械を図解!
#08 【大豆300AレポートNo.3(後編)】圃場条件・目的に合わせた播種のポイント
#09 【大豆300AレポートNo.4(前編)】適期除草がポイント!雑草に勝てば、必然的に収益につながる

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