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われら元氣農業人

栽培面積10ha!

〜三世代で挑む春にんじんの大規模トンネル栽培〜

三世代で挑む春にんじんの大規模トンネル栽培

徳島県の北東部に位置する板野郡藍住町は、吉野川の氾濫が生み出した肥沃な土壌と豊かな水、温暖多湿な気候を生かした全国有数のにんじん産地です。特に、3~6月に収穫される春にんじんのシェアは全国1位。例年、町全体で1万7千t以上の収穫高を誇っているそうです。
藍住町で農業法人として活躍する(株)阿藍では、代表取締役の黒上 隆男さん・後継者の雅史さんご夫妻、95歳になる父の正紀さんの親子三代が力を合わせ、藍住町内を中心に、隣接する上板町、板野町内で、10haと全国でも最大級の春にんじんのトンネル栽培に取り組んでいます。
(この記事は、平成28年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.33』を元に構成しています)

6次産業化を視野に法人化

 「阿藍の阿は阿波の阿、藍は地元、藍住町の藍、地元の土地に根付いた農業経営を継続し続けたいと思って命名しました」と隆男さん。「法人化したのは昨年8月。目的は6次産業化による販売の拡大で、にんじん出荷のない時期にも販売できるピューレ加工に本格的に取り組むことを視野に入れてのことです。また、一昨年までは全量JA出荷していましたが、法人化を機に、全量卸売業者や大手スーパーへの契約出荷に切り替えました」

 阿藍では10月半ばに播種を行う早生の「綾誉(あやほまれ)」、「FSC‒015」「FSC‒001」と、最終2月中旬に播く晩生の「敬紅(けいこう)」まで4品種を採用。3月半ばから6月下旬まで出荷作業を行う他、独自の貯蔵方式を取り入れて、フルシーズンの出荷体制を目指しています。早生の綾誉は大阪府の岸和田市で開発され「甘くて美味しいにんじん」「プレミアムにんじん」と評判の品種。まだ生産量が需要に追いついていない稀少価値の高いにんじんなのだそうです。

ていねいな耕うんと海産物を使ったオリジナル肥料で土づくり

 美味しくて安全・安心なにんじん生産に向けた阿藍のこだわりは何といっても土づくり。「耕うん作業は8月のお盆過ぎからスタートします。この辺りは土が固くごろごろしていて、なかなか細かくならないので、同じ圃場を平均8回、最低6回耕うんします。この時、パワクロで作業を行いますが、低踏圧で土を踏み固めないので排水性が高まって、にんじんの根張りが良くなり品質の良いにんじん生育につながるのです。また、収量を安定させ、秀品率を上げるためにうね幅は170㎝と広くとり、播種の株間を7~8㎝と通常より広げています」と、ご長男で営業部長の雅史さん。肥料は小松島のメーカーに委託して配合した魚粉やわかめを主体としたオリジナルの有機肥料を使用。10a当たり約160㎏ 施用しています。また、地力向上のために牛糞堆肥も施用し、化学肥料をできるだけ抑えた肥料設計。さらにゼオライトを使った資材を全圃場に10a当たり200~300㎏ 施用し、連作障害を回避しています。

「土づくりから出荷まで」機械化一貫体系を確立

 「栽培で最も神経を使うのは播種作業です。にんじんは発芽までが難しいので、決まった間隔に確実に播いて、欠株が出ないよう注意を払います」と語る隆男さん。栽培は、播種から大型トンネルハウスの支柱打ち込み、ビニール被覆、土入れ、防除、まで機械化一貫体系を確立。収穫にはフレコン収納容量400㎏ のにんじん収穫機キャロベスタPro CH‒400Fを使用し、作業効率の向上を図っています。

 また、にんじん洗浄機と選別機を導入して、洗浄・選別・箱詰めまで機械化のラインを組み、多い時には一日800~900箱、年間約450~500t出荷します。機械作業はご長男が中心。隆男さんと奥さまの晴美さん、お嫁さんの綾子さんが主に出荷作業に当たります。収穫作業がスタートすると、春にんじんが最も美味しくまだ露地にんじんが出回らない時期を逃さないよう、雨の日を除いてほぼ毎日掘り取り作業を行い、4~5人地域の女性の人手を頼んでいます。

将来展望はにんじんピューレの本格加工

 にんじんの主な出荷先は、大阪市の「大果大阪青果」と広島市の大手スーパーマーケット。また、阪神間では、有名全国スーパーチェーンの店外産直コーナーでも売られています。市場との交渉は、隆男さんが長年JAでにんじん部会長を務めていた経験を活かして行い、親子で東京と大阪で開催されるアグリフードEXPOに出かけるなど、販路拡大・6次産業化を目指した活動も積極的に行っています。この大阪のEXPOでの出会いをきっかけに、兵庫県芦屋市の本格イタリアン・レストラン「ラッフィナート」のシェフに「これまで探し求めてきた甘いにんじん」と絶賛され、人気メニューのにんじんムースに採用されてお客さまに大好評を博しているそうです。

 「NHKの番組で紹介されたことをきっかけに、宮崎県や東京からの個人的な発注もあり、甘くて美味しいと喜んで頂いています。やはり自分達の手で販売を行うと、市場の評価が実感できてやりがいにつながります」 今後は、九州で開催されるEXPOにも参加し、販路を広げる計画を温めている隆男さん。

 雅史さんも「青果の出荷先をさらに3~4箇所増やし、将来は加工所を作ってピューレの本格加工に取り組んで、年間を通じて販売していきたい」と熱意を見せています。

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