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われら元氣農業人

〜自給飼料生産を強化し、家族4人で取り組む乳肉複合経営〜

自給飼料生産を強化し、家族4人で取り組む乳肉複合経営

群馬県伊勢崎市で、酪農と繁殖和牛の複合経営を営む株式会社鹿沼牧場は、家族経営の中で、労力と収益のバランスをうまく取りながら、乳牛と繁殖和牛の頭数を見極めた経営を行うとともに、牧草とWCS用稲による自給飼料生産に取り組んでいます。
(この記事は、平成27年11月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.32』を元に構成しています)

家族4人で管理できる飼育頭数を構築

 鹿沼牧場は、代表者である鹿沼眞一さん、ミツさん夫妻と、後継者の敏宏さん、のぞみさん夫妻の4人による家族経営です。「この辺りはもともと養蚕地帯で、一面桑畑だったんですよ。私の代になってから乳牛を購入し、徐々に頭数を増やして経営を酪農に転換していったのです」と就農当時を振り返って話す鹿沼さん。酪農部門を拡大するとともに、和牛飼育にも本格的に取り組み、後継者の敏宏さんの就農を契機に、平成14年には、飼育管理の省力化が図れて多頭数管理が可能なフリーストール牛舎を新設し、TMRミキサーを導入。繁殖和牛をさらに増頭し、乳肉複合経営の基盤を築いていきました。
 鹿沼さんの経営の特徴は、従業員を雇用せず家族4人で管理できる飼育頭数に抑えること。「雇用して規模を拡大するより、頭数を減らしても家族だけで行うほうが余裕が出ると考えています。畜産の収益率は低いので、雇用しても人件費を補えるだけの純益を生み出す仕事量が確保できなければ、なかなか難しい」。鹿沼さんは、損益分岐点を考え、乳牛と繁殖和牛の比率を見直すことで、家族で管理できる飼育体制を構築。哺乳ロボットを導入して作業時間を短縮するなど工夫を凝らすことで、若い後継者家族が、ゆとりある生活を営める経営を目指して、作業体系を組み立てています。

繁殖和牛への粗飼料は自給率100%

 「伊勢崎周辺は、夏場はニュースになる熊谷や館林と同じくらい暑く40℃近くまで気温が上がりますし、冬は、赤城山から『上州のからっ風』が吹いてとても寒いところなんですよ」と鹿沼さん。特に夏の暑熱対策には、細霧と30台の扇風機によって牛舎内の環境に気を配っています。
 また、飼料給与については、乳牛にはすべて、輸入粗飼料と濃厚飼料を配合したTMR飼料を年間を通じて給与することで、乳量・乳質を高く安定させることに努める一方、繁殖和牛に給与する粗飼料は、100%自給生産です。「最初は畑地はそれほど多くはなかったんですが、やはり糞尿処理の部分で、土地が必要になってきますので、そこから循環する形で飼料作物を栽培していきました。以前は飼料用とうもろこしを栽培してサイロにしていましたが、作業効率と機械化体系を見直し牧草に転換していったのです」と鹿沼さん。周辺農家の高齢化などを背景に借地面積を拡大しながら牧草の栽培を増やすとともに、堆肥発酵処理施設を設け、草地に堆肥として戻すことで循環型農業も構築しています。
 また、水田を利用してWCS用稲にも取り組み、自給飼料基盤の強化を図っています。「WCS用稲は専用品種の『夢あおば』です。草丈も長く、飼料用米にも使える品種なので籾も多いのが特徴で、刈取りはディスクモアを使用しています。WCS用稲は近隣農家の収穫作業も受託しています。この地域の米の価格は全国的に見ても低いほうなので、水田活用の戦略作物で10a当たり8万円の助成金が付くのなら十分取り組む価値はありますね。制度が継続すれば今後も普及すると思います」と話します。

限られた時間で行う飼料生産は作業効率が鍵

 「牛を飼育してると、水田や畑仕事は朝から晩までできませんからね。11時から15時という1日の中で限られた時間で作業することになりますから、いかに作業効率を高めるかです。そうでなければ面積をこなせません」。特に秋は、WCS用稲のロールベーラ作業やイタリアンライグラスの播種などトラクタでの作業が集中するため機械に頼る部分は大きいと鹿沼さんは語ります。今、同牧場では、トラクタを4台(90馬力1台・75馬力2台・32馬力1台)保有していますが、新たに、90〜100馬力クラスのトラクタをもう1台増車することを検討中です。
 鹿沼さんは、これからの牧場経営について、「うちは乳肉複合経営としては、繁殖和牛が30頭というのは、決して小さな規模ではないと思っています。あくまで酪農が主体なんですが、柱は2つある方が収入が分散して経営的にも安心です。しかしこれからの経営は、また違う視点から見ていく必要があるかもしれません。それは、若い人がその方向性を決めていくべきだと思っています」と語ります。その目は優しく、後継者夫婦の姿を見つめているようです。

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