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われら元氣農業人

〜「あか牛」の繁殖経営と粗飼料の生産・販売 家族で取組む大規模経営〜

「あか牛」の繁殖経営と粗飼料の生産・販売 家族で取組む大規模経営

●経営内容
あか牛(褐毛和種)の繁殖経営
牛120頭(育成牛も含む)、子牛50頭
粗飼料の生産・販売
イタリアンライグラス(タチマサリ)70ha、
夏牧草(グリーンミレット/青葉ミレット)20ha、
WCS用稲(コシヒカリ、ヒノヒカリ)100ha、
稲わら160ha

●経営形態
家族経営 常勤4名(栃原様、奥様、息子さん2人)

(この記事は、平成29年6月発行のクボタの営農情報誌『U(ユー)元氣農業 No.35』を元に構成しています)

拡大する飼料生産に対応
機械を大型化し、数を揃える

 古くから熊本県で生産されており、適度な脂肪分と赤身の旨さで知られる和牛、「あか牛(褐毛和種)」。栃原牧場の栃原薫さんは、現在170頭という規模で繁殖経営に取り組まれています。一方で、久木野粗飼料生産組合の組合長として、阿蘇地域と熊本市内で牧草、WCS用稲と稲わらの生産・販売にも取組まれています。地域の畜産農家の求めに応じるため、生産は拡大傾向で、経営面積も年々増加傾向。そのため、大面積であっても、適期を逃さずスピーディーな作業ができることを望まれています。「同じ作業を2人同時に行うこともありますし、インプルメントなどが不調になった際も代替機を待っていて作業が遅れてしまえば、作業を請け負っている農家さんに迷惑がかかるし、適期を逃せば品質も下がりかねない」そのため、面積の増加とともに、トラクタや作業機が多数必要になってきたそうです。本年2月には「クボタさんから、ついに大規模向けの大型トラクタが出た」ということで、M7-131を導入されました。

「早刈り」でWCSを高品質化
堆肥の投入で栄養価を高める

 WCS用稲は「早刈り」しているという栃原さん。「出穂したWCS用稲の「ノゲ(芒)※」は、牛の胃にチクチクして胃潰瘍を起こすこともありますので、「ノゲ(芒)」が硬くなる前の出穂期に刈取ります」。牛の健康を守れるだけでなく、実を大きくするため茎と葉に栄養を貯めている時期に刈取ることで、栄養価が高いWCSにできるというメリットもあるそうです。

 一方、イタリアンライグラスの栽培では、品種の選定がポイント。「収量が多くて倒伏につよいタチ型のものを必ず選定します。現在は雪印の「タチマサリ」。作業を請け負っている農家さんにもタチマサリの播種を依頼しています」。もう一つ重要なのが堆肥の投入。「堆肥は牛糞2鶏糞8の割合で配合。10aに6t程投入します。堆肥によって牧草の1番草のみならず、2番草、そしてWCS用稲の栄養価も高くなります」とのこと。3t、4t積載できるマニアスプレッダで一気に投入後、すぐにロータリで土をかぶせ、近隣への臭いの拡散を防止します。

新たに導入したM7で作業効率をさらにアップ

 こうした飼料作物の栽培に関わる作業で、今後の活躍を期待されているのがM7。導入後、まずは2.8m幅のロータリを装着し、耕うん作業に使用されていますが「作業が速いし、快適性も全然違います。レバーやタッチパネルの操作性も良いし、キャビンからの視認性も良い。息子達も「速かなぁ」と言っていますね」と語ります。

 所有する大型ロールベーラや、新たに導入を検討しているフロント、リアのモアコンを装着したりなど、いろんな作業を試していきたいとのこと。「WCS用稲をはじめたころは普通のディスクモアで刈っていたんですが、モアコンと比較すると乾きが2日ほど遅くなります。M7でフロントとリアにモアコンを装着してスピーディーに刈取作業をしたいですね」。

さらなる多頭経営を目指し積極的に先進機器を導入

 平成10年、設立当初の飼養頭数は2頭でしたが、現在は母牛120頭、子牛50頭もの大規模経営となった栃原牧場。5年後の目標は飼養頭数350頭。さらなる多頭飼育を目指して、様々な先進機器の導入を進めています。そのひとつが哺乳ロボット。導入のきっかけは、近隣から鳴き声への苦情があったことでした。「生後3、4ヶ月の子牛を親牛から離すと一晩中鳴きますが、生後12時間ぐらいで離すと、あんまり鳴かない。初乳をちゃんと飲んでいることが確認できたら離して、人間の手で少し乳を与えて慣らしてから、哺乳ロボットで乳を飲ませます」。哺乳ロボットの使用には、鳴き声が少なくなるだけでなく事故率の減少というメリットもあるとのこと。「母牛と子牛を一緒にしておくと、蹴られたり、踏まれたり、母牛の乳の成分の変化で下痢をしたりすることがありますが、哺乳ロボットを使えばそうしたことがなくなります」。さらに、安定して子牛にミルクを供給することができるので、管理が行き届き7~8ヶ月の月齢で出荷できるというメリットも。「親牛と一緒に過ごさせる方がイメージは良いかもしれませんが、使ってみたら、理想とするような良い牛ができている」という栃原さん。

 「哺乳ロボットもそうですが、新しい技術を積極的に導入・活用して牛を管理していくことが、多頭飼育の実現に向けて重要なことだと思います」と語ります。母牛には健康状態を管理するためのセンサーを設置し、体温測定や歩数などのデータ計測で、種付けの時期などを管理されています。また、牛舎には監視カメラも設置し、分娩が近い牛の状態などをスマホで観察できるようにもしています。

経営規模の拡大によって地域のこれからに貢献していく

 今後について「牛の頭数は目標に向けて。飼料作物は需要に応えられるように面積を増やし、品質も高める」という栃原さん。「自分たちが作ったものを身近で味わっていただけるように新たな販売にも取り組みたい」との想いも抱かれています。

「私にとっては、畜産業が好きで楽しいというのが、やっていて一番です。20年、30年後を視野に、作業を請け負っている農家さんや、地域であか牛に携わっているみんなが畜産で元気になっていけるようがんばっていきたいです」と抱負を語ってくださいました。
※籾の先に付く「ノゲ」は出穂と同時に出る。その後、登熟が進むにつれて(日数の経過とともに)硬くなる。

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