耕地面積の9割を水田が占める全国でも有数の米の産地、福井県。近年、基幹作物である水稲の価格低迷に伴い、園芸を取り入れた複合経営に取り組むことで農業所得を増やそうと、水田で白ネギやキャベツ、ブロッコリー、タマネギなどが栽培されています。今回は県推進品目の一つ、白ネギ栽培に情熱を傾ける就農2年目の若きファーマーにインタビュー。規模拡大を目標に、就農と同時に導入したJB13XNMの活用法をお聞きしました。
超幅狭トラクタJB13XNM(13.5PS)
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米どころ福井で水田を活用し、白ネギ栽培にチャレンジ!
福井県坂井市で、水稲5haと夏どりの白ネギ2.6haを栽培する内江元泰さん。「元々はサラリーマンだったのですが、自分で事業をやりたい想いがありました。基盤があって、自分で意思決定ができる仕事は何かな?と考えた時に、最初にパッと頭に浮かんだのが、農業でした。」内江さんのお父様は、米をつくる兼業農家で、農業は身近なものでした。
就農するにあたり、「米の他に水田を活用して、何か出来ないかと模索していたところ、自分の性格的にも面積拡大という意味でも、白ネギなら取組みやすいと思い、やってみようと決心しました。」園芸分野での独立就農を支援するため、県が開設した研修施設「ふくい園芸カレッジ」で学んだ後、里親農家の指導も受けながら、白ネギの栽培技術を学び、2020年に独立しました。
トラクタで馬力もあるから、
硬い水田でもしっかりと土揚げができる!
白ネギは単位面積あたりの所得が高く、需要も比較的安定しており、機械化による大規模栽培も可能です。内江さんも作業のほとんどを機械化。その中でも栽培期間中、ほぼ毎日使うというのが、超幅狭仕様の小型トラクタJB13XNMです。
「研修先でお世話になった里親農家さんが使っていたんです。他も選択できましたが、トラクタで馬力があって、土が硬い水田でも作業できること。また、土揚げがしっかりできること。この2点が、導入の決め手になりました。」JB13XNMは、パワフルで粘り強いE-TVCS(新3噴流燃焼方式)エンジンを搭載。13.5馬力で、余裕の作業が行えます。
内江さんは、白ネギの湿害を防ぐことと、うね間の作業性を高める目的で、条間を通常より広い140㎝にしています。JB13XNMは、標準仕様のトラクタ(JB13X)に比べ、後輪外幅が770㎜と狭いため、余裕を持ってうね間作業が行えます。「中耕・除草だと、1haの面積が8時間で済みます。土揚げは、正確性も求められますが、それでも一日で80aとか、結構作業できますよ。」中耕・除草、土揚げの他に、埋め戻しや薬剤散布、施肥も含め、フル活用しています。
また、JB13XNMのもう一つの特長であるモンロー機能(自動水平制御)について、「中耕作業をした後、仕上がりがきれいなので次、トラクタがうね間に入る時、しっかり入れるなという感じ。」作業効率アップにつながると言います。
同時作業ができるのが、大きな魅力!
JB13XNMのもう一つの大きなメリットとして、複合作業ができることがあります。「面積が増えてくると除草が追い付かないので、1回で色んな作業ができないか考えていた中、クボタの実演会で逆転ロータリを見ました。今までは、正転ロータリで作業していたのですが、残耕があったり除草が大変だったり...。それが、逆転ロータリを使うことで、除草と同時にしっかり土揚げができるようになり、手直しの必要もなく省力化できました。うちは、軟白をきっちり確保するため、4回土寄せをするので、これは良いです。」
また、以前に植付溝作りができるアタッチメントの開発要望を出していた内江さん。その製品を含めた、新しいアタッチメントのテストも兼ねた実演会が、収穫前の7月に内江さんのほ場で開催されました。作業を確認した内江さんは、「植付け溝堀については、トラクタの後ろに施肥機を着けることができ、溝堀と施肥が同時にできるので、かなり省力化になると思います。去年は商品化されていなかったので、手で肥料を撒いており、とても重労働なんです。埋め戻しについては、試作機だったものの、ワンシーズン使わせてもらって、除草も出来るので100点。もうあれなしでは、作業できないという感じです。」
これらのアタッチメントは、内江さんをはじめ、北は宮城県、南は鹿児島県まで全国各地のお客様からの意見を反映させたもの。現地でブラッシュアップを重ね、クボタの技術部、アタッチメントメーカーの共同開発によりスピード感を持って商品化されました。「機械を開発している側と、実際に作業する側と、どうしてもギャップが出てくる。こういう実演会しかアイディアや意見のすり合わせが出来ないと思うので、より密な情報交換が出来たら良いですね。」
面積を増やすこと、高品質なネギを作ることが第一の目標!
「今回、収穫した白ネギを運搬する、トレーラーについても開発要望を出していました。最初、思ったより積めないかな?と思ったのですが、あおりが広がるなど、色んな工夫がされていて、あったら便利だと思います。また、実際にほ場で使えるかどうか、テストしたいですね。あとは、止め土ができるアタッチメントが欲しいです。白ネギは十分な軟白が確保できてこそ、商品価値も高まるので、土をしっかり飛ばし押し付けていくものが良いですね。」
クボタでは現在、省力・効率化につながる作業機やアタッチメントを開発中のもの含め、豊富にご用意。2点リンク専用にはなりますが、ほとんどの作業機、アタッチメントにキャスターを付け、脱着しやすいよう工夫。慣れると10分程度と、短時間で付け替え可能です。
自身の思う理想的な白ネギづくりに挑戦中の内江さん。「業界ではまだ若い方だと思います。農業従事者の高齢化が進んでいますが、若い人が今入ってきても十分活躍できる業界だと思います。周りの人が色んなことを教えてくれたり、サポートしてくれるので、やりがいもありますし、楽しさはあります。今の一番の目標は、面積をもう少し増やしていって、高品質なネギを作っていきたいのと、雇用を増やすところまで、持っていきたい。そして、しっかりとした経営を行うことで、地域に貢献、還元したい想いがあります!」その挑戦に、JB13XNMが大きな力になっていることは間違いなさそうです。