
一年間を通して草刈りの機会は多く、特に暑い時期の作業は、農家の皆さまにとって重労働になっています。刈払機やトラクタに装着して使用するモア、近年注目を集めるラジコン式草刈機など、さまざまなタイプがありますが、あぜの斜面や平地でも簡単な操作で快適に作業できる自走式の草刈機は根強い人気があります。今回は、2025年にモデルチェンジした『クボタスイング式法面草刈機 KalMax(カルマックス)03 シリーズ』を使用される方に、作業の負担がどのように軽減されたのか、お話を伺いました。
目次
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広い刈幅で効率よくラクに刈れる。作業時間も短縮

広島県 田中茂さん(使用機:GC-K503)
刈払機と比べ、作業時間も労力も軽減
KalMax(カルマックス)より小型の『クボタスイング式草刈機 カルモ(GC-K300D)』を使っていた田中さんは、「カルモの性能には満足していましたが、長いあぜの下まで草を刈る際、ハンドルの長さに物足りなさを感じて、ハンドルが2mほど無段階に伸びるKalMaxの導入を決めました」と話します。
「KalMax(GC-K503)はカルモと比べ刈幅が500㎜と広く、広いあぜを刈るにはぴったりです。作業が早く済み、馬力も十分にあるため、草のボリュームが多くても問題なく刈れます。刈った草が詰まる心配もなく、作業がスムーズに進みます」。
『スイング式刈刃機構』を搭載するKalMaxは、進行方向に対してエンジンや刈刃部が傾く構造により、刈った草の排出がスムーズで、高密度の草地でも効率よく刈れます。
背負式の刈払機で作業をすることもあるそうですが、「田んぼの水際近くに生える草を刈るので、泥が飛び散って汚れやすく、特に斜面での草刈りは大変で足腰への負担が大きいです。でもKalMaxなら、あぜの上から機械を引いて歩くだけで草が刈れるので、服も汚れにくく体もラクです。能率も体感として、1.4倍は上がりましたね。これなら、刈払機では5回ほど刈る必要がある場所でも、KalMaxなら3回で済む可能性があります」。

GC-K503はハンドルが1.6m~2.1mの長さまで無段階に伸縮可能。ハンドル長さは手元のレバーで調節でき、あぜの下までラクに刈れる
好みやほ場の状態に応じて、刈高さが簡単に調節できる
「ほ場に石が少ないため、刈高さを30㎜と低めに設定して刈っています。草刈りの回数を減らせることと、刈跡がきれいな点が理由です。もう少し低く刈ることも検討していますが、刈高さの調整は簡単にできると聞いたので、様子を見ながら調整したいです」。
田中さんが言う通り、新しいKalMaxは、付属のスペーサを着脱することで、刈高さの調整範囲が20㎜から50㎜に拡大し、好みやほ場の状態に応じて調整できるようになりました。
草刈りが本格化する時期に向け、「広い刈幅で能率よく刈れるKalMaxと、狭いあぜを刈ることに適した軽量で取り回しのよいカルモを、刈る場所に応じて使い分けていきたいです」と話してくださいました。

4枚のフリー刃で草を細断していく。硬い草や障害物に当たると刃が逃げ、刃こぼれを防ぐ

付属のスペーサを着脱することで刈高さの調整が簡単に行える
操作性とメンテナンス性が向上し、作業がより快適に

広島県 中島孝浩さん(使用機:GC-K503)
中島さんが在籍する農事組合法人では、今春(2025年)からKalMax(カルマックス)を活用しています。この日、初めて試運転を行った中島さんは、「以前より車輪のラグが大きくなったことで、斜面への食い込みがよくなったと感じます。これなら湿ったあぜでも滑らず作業できそうですね」。
中島さんが感じた通り、新しいKalMaxは、ラグ形状を大型化し斜めに配置したことで走破性が向上し、滑りにくくなりました。
「操作ラベルも大きくなり、見やすくなりましたね。作業中にホコリをかぶって汚れたり、刈った草で機体ボンネットのラベルが隠れてしまったりして、進行方向が分かりにくいことがありましたが、これなら進行方向がはっきり確認でき、作業がしやすそうです」と話します。

機体のボンネットとハンドルの操作ラベルを一新してサイズを大きくしたことで、進行方向がより分かりやすくなった
また、年間でおよそ5回行う草刈り作業について、「1回の作業に1週間ほどかけて、半日ずつ進めている」と話す中島さんは、日常の点検・整備の重要性にも言及します。
「大勢のスタッフで頻繁に使用するため、メンテナンスを怠ると機械に負荷がかかりやすくなります。そのため、こまめな清掃が欠かせません。新しいKalMaxを確認したところ、エンジンの取付部分のすき間が広がり、メンテナンスがしやすくなっていますね。エアクリーナも、以前はスポンジエレメント(半湿式ウレタン)のみでしたから、今回はメンテナンス性が格段によくなっています」。
新しいKalMaxは、エアクリーナを大型のスポンジエレメント(乾式ウレタンフィルタ)と、ペーパーフィルタの2層式にすることで、エンジン内部への粉じんの侵入を防いでいます。
さらに、作業中のトラブルを防ぐための新しい機能として、『エンジン過負荷アラート機能』を搭載。エンジンに高い負荷がかかると、エンジン音の変化と振動でお知らせするので、オーバーヒートや不具合を未然に防ぎます。アラート機能が作動してもエンジンは停止しないので、再始動のために斜面を降りる必要がありません。
「新しい草刈機ということもあって、刈りやすくなっているし、使い勝手もよくなっています」と、総合的に評価していただきました。

大型のラグがしっかりと地面に食い込む

防塵性に優れたエアクリーナを採用。乾式ウレタンフィルタ(左)とペーパーフィルタ(右)の2層式で粉じんの侵入を防ぐ
取り回しがよいから、扱いやすくて作業もラク

山口県 藤元俊紀さん(使用機:GC-K403)
刈払機より労力は半減。効率は2倍。一度使えば、もう手放せない
水稲を1人で15ha栽培する兼業農家の藤元さんは、農作業を手伝う娘たちのためにKalMax(カルマックス)を導入しました。「これまでは刈払機で作業をしていましたが、娘たちの負担を軽減したいとの思いから、KalMaxで作業を少しでもラクにできればと活用を決めました」。
「KalMaxで刈るようになってからは、刈払機に比べて労力は半分になったのに、刈れる面積は倍に広がりました。刈払機では1時間が限界でしたが、KalMaxなら2~3時間は作業できます。作業も早く終わるし、1回使ったら手放せませんね。草も細かく粉砕されるので、刈跡がきれいで、集草の手間もなくラクです。娘たちはもうKalMaxしか使いません。やっぱり、違うんだと思います」。

平地でも自走で刈り取りができ、刈払機に比べて負担が軽減される
ハンドルの可動域が広く、操作がしやすい。方向転換がラク
KalMaxで特に評価している点として、藤元さんはハンドル操作のしやすさを挙げます。
「ハンドルは握りやすく、迷わず操作できるのもよいですよね」。
新しいKalMaxは、手に馴染む樹脂製の主クラッチレバーを採用。よく使うレバー類は、手元に集中的に配置し、直感的に操作できます。また、GC-K403は、ハンドル手元で変速の調整も行えるようになり、操作性がさらに向上しました。
「また、ハンドルの取り回しもよいので、方向転換の際も止まらずに往復刈りができて、すごくラクなんです。これは本当に素晴らしい機能だと思います」。
KalMaxは、ハンドルの取付位置が機体側面の低い位置にあるため、機体の前後バランスが安定し、操作性に優れています。藤元さんが使用するGC-K403はハンドルの左右角度が15段階、206°と広範囲に旋回可能で、ハンドル上下角度は7段階と、ほぼ水平に近い角度から垂直に近い角度まで調整できます。

ハンドル取付位置が機体側面の低い位置にあるので、機体バランスが安定。ハンドル操作もしやすい
ハンドルの可動域が広いため、扱いやすいことが利点で、藤元さんも「軽トラへの積込みもラクだし、ハンドルが垂直に立つので、収納スペースを取らず保管もしやすい」と評価します。
「最近では長女が『農業をやってもいい』と言ってくれますが、若い人たちに担い手になってもらうには、ラクで快適に作業ができる、スマート農業のような最先端技術を取り入れていかないと、持続性がないと思っています」。
GS※トラクタやGS※田植機の導入など、機械化を積極的に進める藤元さんは、「将来的にはラジコン草刈機も活用を検討したい」と話し、KalMaxの導入をその第一歩と位置づけています。
※GS:GPSの位置情報を利用して、自動で直進走行ができる「直進アシスト(GS=Go Straight)機能」のこと

進行方向の切換えは、主クラッチレバーを握ったまま行える。旋回操作が不要でラクに往復刈りが行え、作業効率が上がる