土地利用型野菜輪作体系におけるスマート農業技術の効果や課題を検討 アンドファームスマート農業実証コンソーシアム現地検討会開催 お気に入りに追加
岩手県岩手郡岩手町 株式会社アンドファーム
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スマート農業実証プロジェクト 現地レポート

スマート農業加速化実証プロジェクト

岩手県|

だいこん|キャベツ|

土地利用型野菜輪作体系におけるスマート農業技術の効果や課題を検討 アンドファームスマート農業実証コンソーシアム現地検討会開催

土地利用型野菜輪作体系におけるスマート農業技術の効果や課題を検討 アンドファームスマート農業実証コンソーシアム現地検討会開催

岩手県で、中山間地域での土地利用型野菜輪作体系におけるスマート農業技術の実証に取り組むアンドファームスマート農業実証コンソーシアム。実証2年目を迎えた今年、省力化や精密化が期待されるスマート農業技術について、8月3日に、盛岡市内のいわて県民情報交流センターで中間検討会が開催されました。また、翌4日は、八幡平市の七時雨高原にある株式会社アンドファーム様(以下アンドファーム)の実証ほ場において、現地検討会が開催され、現地ほ場の生育状況を確認するとともに、自動操舵補助システムによるキャベツの中耕除草作業やだいこん自動収穫機等、実証に取り組んでいるスマート農業機械の作業状況について検討がなされました。

 


 

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スマート農業技術による傾斜地ほ場での生産性・効率性向上に期待

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 岩手県では県北部を中心に土地利用型野菜が作付けされており、キャベツ、レタス、だいこん等の産地が形成されています。特にキャベツは、主産地である岩手町において、1戸当たりの栽培面積が拡大しており、10ha以上栽培する経営体の出荷量が、町全体の約80%を占めています。
 一方で、栽培面積拡大に伴う労力の不足、傾斜地ほ場における生育の斉一化などが課題となっています。そこで、熟練オペレータや収穫労力不足の軽減、傾斜地ほ場における機械化一貫体系の導入を目的に、令和元年度よりアンドファームにおいて自動操舵技術をはじめとしたスマート農業実証プロジェクトに取り組んでいます。今年度は、昨年度の実証結果を受け、実栽培規模でのスマート農業技術の利用効果について実証しています。
 今回の現地検討会は、スマート農業技術の導入効果や課題について、実際の作業状況を確認しながら関係者で検討するとともに、県内の農業者や関係機関に実証技術の内容を理解してもうことを目的に開催したもので、自動操舵技術を用いた機械除草作業、ドローンによる防除、だいこん収穫機等について現地で実演、検討しました。いずれの作業についても、スマート農業技術の効果が実感されました。この実証プロジェクトを契機として、岩手県の土地利用型野菜栽培技術のスマート化が進展し、生産性、効率性が一層向上することが期待されます。

大規模野菜農家の労力不足改善に貢献できるスマート農業技術

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 実証ほ場がある七時雨高原は風光明媚なところですが、1日に七回もしぐれるほど天気が変わりやすいことからその名前が付けられたと言われています。ここは火山のカルデラ地形が見られ、山麓一体に牛馬の放牧地が広がっていましたが、近年、放牧牛が減少したことから、アンドファームをはじめ意欲のある生産者の方たちが、空いていた土地を活用し、大規模な土地利用型野菜に取り組んでいます。その大規模農家が問題としているのは、労力不足です。規模拡大を進めていくにつれ、管理が行き届かず、収量が減少するという悩みも起きています。実証農場であるアンドファームが、このスマート農業実証プロジェクト事業に取り組みたいと思った理由の一つが、この労力不足の改善です。
 中間検討会では、実証の中で効果がある技術や、まだ課題が残る技術について検討されましたが、スマート農業技術は完璧でないと使えないというわけではありません。効果がある技術はすぐにでも効率的に活用できますし、課題になるところは課題解決に向けての取組みを考えながら前に進むことが大切です。岩手県の野菜産地にスマート農業技術をどう取り入れていくかという視点で、これからも検討を続けていきたいと思います。

スマート農業技術は作業と経営の両面でメリットが生まれる

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標高差を利用したリレー栽培によって規模拡大
実証ほ場の七時雨地区は21年前に農地を取得、また5年前から牧野も借りて、標高約700mの冷涼な気候で野菜作りを行っています。品質の良い夏野菜を8〜9月に収穫できます。標高約300mの里のほ場での収穫は10月なので、標高差を活かしたリレー栽培が可能になりました。現地検討会では、「スマート農業技術を導入することで、これだけ生産性や単収のアップが図れるんだ」というところを実感していただけたのではないかと思います。

労力不足を解決できる自動操舵での中耕除草作業
自動操舵補助システムを装着したトラクタは、経験の浅いスタッフが喜んで乗っています。除草作業までは人の確保がなかなかできないので、中耕用カルチを用いた除草作業は、経営にとってメリットがあると実感していますし、実証でも成果が上がっていると思います。農業用ドローンも、性能が格段に向上してきているので、将来的にボタン一つ押せば、行って、散布して、帰ってくる、そういったことも可能になるかもしれません。乗用移植機は、2条同時に植付けができますから、1時間に約20aの植付作業が可能として、1日8時間で約1.6haの作業ができる計算になります。今年のような曇天長雨が続く時には、晴れたら一気に植えてしまうことが可能です。現場対応力のある機械はメリットが大きいと思います。

手堀り作業に比べて2.5倍の収穫が可能なだいこん自動収穫機
だいこん収穫機については、腰を落として、重たいだいこんを持ち上げ、フレコンに詰める作業はかなりの重労働なので、収穫機によって、立った状態で収穫ができることは、スタッフにとって、非常に楽な作業になっています。従来であれば7~8名が必要だった作業を、収穫機ではオペータと作業者を合わせて5名で作業でき、2~3名は減らすことができます。しかも、短時間である程度の数量を掘り上げて、あとは洗浄・選別に回れるので、同じ作業時間で考えると、手堀り作業に比べて2.5倍くらい作業能率が向上すると思います。
 現場で、「こういったものがあったら」というものを、関係機関や関連メーカーの皆さんと意見交換しながら、農業のさらなる進化のために、技術開発が加速していけばいいなと願っています。

■現地検討会での実演技術

キャベツの中耕除草作業の高精度化実証

●目標
既存のトラクタに自動操舵補助システムを装着し、中耕除草機で栽培株への損傷を最小限にできるうね間・株間除草作業を実証。除草作業の精度を高め、キャベツの管理作業を効率化する。
●実証の概要
【局所施肥区】 自動操舵トラクタ+2段局所施肥うね立て機(3条)でうね立て→歩行型移植機→自動操舵トラクタ+中耕除草機(4条)
【全面施肥区】 トラクタ+全面施肥うね立て機(4条)→歩行型移植機→トラクタ+ロータリカルチ(2条)
●令和元年度の達成状況
・自動操舵補助システムを用いることで、4連タイプの除草機でも高精度な除草が可能で、除草後のキャベツ株付近の残草は慣行(自動操舵補助システムなし)より14.8%減少した。
・キャベツの損傷株率(傾きや葉の破れ)は慣行より大幅に減少した。
・10a当たりの除草作業時間(機械作業のみ)は慣行の64%に削減された。
●令和2年度の実証内容
除草による損傷株を少なくし単収を向上する、残草を低減する


 

病害虫防除作業の効率化実証

クボタ農業用ドローンT20Kの特長
●カセット式大容量16Lタンク搭載
●散布幅6mの広幅散布と大容量タンクにより作業能率が向上
●自動飛行モード&障害物レーダ
●KSAS対応で、自動日誌作成が可能になり毎日の管理作業の効率化が図れる

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クボタ乗用全自動野菜移植機による高精度な植付作業を実演

クボタ乗用全自動野菜移植機SKP-200
①2条全自動移植で、楽に高能率な作業が可能
②株間・条間・植付深さがきめ細かく設定可能
③0.55m/sの業界最速の作業速度で高い植付精度
④大型予備苗台で苗トレイ12枚積載可能
⑤四輪サスペションで快適作業
⑥対地モンロー採用で優れたうね追従性
⑦多目的ヒッチで除草等管理作業も可能


 

だいこん自動収穫機の導入実証

●目標
①収穫作業時間の80%削減
②省力化・軽労化
③稼動面積の拡大(10ha)
●令和元年度の達成状況
・作業時間は慣行に比べ、約23%に大幅削減
・引抜きミスや損傷は少なく、目標単収以上の収量確保
・慣行に比べ、作業者の作業負担が大幅軽減
●令和2年度の実証内容
・収穫作業時間を慣行比20%まで削減、省力化・軽労化の確認、収穫機可動面積の拡大
・一斉収穫での歩留まりが低下しないよう、生育を斉一化させる栽培管理技術を合わせて検討

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アンドファームスマート農業実証コンソーシアム現地検討会

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