クボタソリューションレポート
島根県|
ブロッコリー|
島根県農業技術センタ-が今年取り組んでいる「礫質ほ場における効果的な排水対策の実証」の続報です。6月8日に、実証区に緑肥として栽培しているライムギをフレールモアを使って細断作業が行われました。
緑肥細断作業
フレールモア FNC1602R
スマート農業技術と「かん湛!」を組み合わせた実証
島根県農業技術センタ-が、令和4年度全国農業システム化研究会の現地実証調査として取り組んでいる「礫質ほ場における効果的な排水対策の実証」。その実証調査の一環として、実証区に緑肥として栽培しているライムギの細断作業が行われました。細断作業は、フレールモアを使用し、草丈が人の身長ほどに生長したライムギを、刈り取りながら粉砕。20aの面積を30分ほどの短時間で作業を刈り終えました。今回は、排水対策と並ぶ実証の大きなテーマである緑肥栽培とすき込みについてレポートするとともに、5月下旬に施工した、全層心土破砕機カットブレーカーのほ場の様子も紹介します。
実証担当者の声
高速できれいに細断できるフレールモアは軽労化につながる機械です
3月30日に播種したライムギが、草丈1.6mくらいに育ち花が咲き始めたので、今日はフレールモアで細断する作業を行いました。緑肥を細断することで、ほ場にすき込んだ時に分解しやすく、ロータリに絡まないようになります。この後水分を少し飛ばしてからロータリ耕うんをしてすき込み、うねを立てて7月にブロッコリーを定植する予定です。この辺りでも、有機物を入れずに栽培して地力が低下している事例がありますので、緑肥の活用を呼び掛けています。緑肥の細断を歩行型のハンマーナイフモアで行っている農家さんもいらっしゃいますが、重労働で時間もかかるため断念する方も多いようです。高速できれいに細断できるフレールモアは、今後普及の対象になる機械だと思います。
実証経営者の声
歩行型裁断機で3時間かかる作業が瞬く間に終わり、驚いています
ブロッコリーの前作に、緑肥としてエンバクとライムギを植え、山菜やさといもを翌年植えるほ場ではソルゴーを栽培しています。試験的に緑肥を細断しないですき込んだことがありますが、分解が遅いうえ、ロータリに絡まったりしてうまくいきませんでした。そのため、最近では歩行型のハンマーナイフモアを使って作業していました。約20aの面積を3時間くらいかけて刈っていましたが、けっこう重労働です。今回の実証では、フレールモアだと30分くらいで刈り終えましたね。しかも仕上がりがきれいなので、この機械が欲しくなりました。
排水対策を重視し、水田転換畑で取り組む加工・業務用キャベツ
ワンポイントアドバイス
良質な有機物を供給できる緑肥は、排水対策にも有効です
土壌に良質な有機物を供給する働きのある緑肥は、排水対策にも有効です。土壌中の有機物を増やすことで土が膨軟になり、下方向への水浸透が促されるので、雨が多く降った後でもほ場の表面に水が溜まりにくくなります。また、緑肥の根が腐ると水の通り道になって水抜けをよくする効果があるとも言われています。
全国的に地力が低下していることが問題になっていて、積極的に堆肥や緑肥を投入することが望まれます。畜産地帯であれば、質の良い堆肥が地域で供給されますが、そうでない地域では緑肥がふさわしいと考えます。緑肥の種を2~9㎏購入して播けば、多いときには、乾物で1t、生重で5t/10aの有機物が育ち、堆肥と遜色ない効果を発揮します。
今回、ライムギ(品種:ダッシュ)を選んだ理由の一つが、アブラナ科の根こぶ病に対して効果があると種苗メーカーのカタログに記載されていることです。全国的にも大きな問題になっているアブラナ科根こぶ病の抑制に期待しています。
ヘアリーベッチほ場も覗いてみました!
カットブレーカーによる排水効果の実証
明らかに違う乾いたほ場!雨後の排水効果を実感!
5月26日に全層心土破砕機カットブレーカーminiで排水対策を行った実証ほ場の土壌状態を、約2週間後の6月8日に確認しました。土壌分析や水分計による結果はまだ出ていませんが、排水対策前のほ場と比べ、明らかに排水が良くなり、ほ場が乾いていることが確認できました。