小・中規模向けのえだまめ選別機で 調製作業の省力・省人化 お気に入りに追加
令和6年度全国農業システム化研究会の実証調査 クボタえだまめ粗選別機、色彩選別機の現地実証調査を実施
お気に入りに追加

秋田県では、えだまめを重点品目に位置付け、出荷量日本一(※)を目標に栽培面積拡大を進めています。規模拡大には労力のかかる 選別作業の機械化を図り、効率化・省力化が必要ですが、小・中規模の個人選別では揺動粗選別機と手作業が主で作業能率が低いことが 課題となっています。そこで秋田県農業試験場ではクボタと共同で小・中規模向けにえだまめの「粗選別機「」色彩選別機」の研究開発を 行っており、2025年の発売を前に新型えだまめ選別機の現地導入に向けた作業性調査を行っています。 (※)京浜地区中央卸売市場(東京、横浜、川崎)に対するえだまめの都道府県別出荷量

目次

※ クリックすると該当の見出しへ自動でスクロールします。

実証担当者の声

秋田県農業試験場 企画経営室 スマート農業チーム
主任研究員 齋藤 雅憲 様

えだまめ選別機で労力のかかる選別作業を省力・省人化し、品質を高めていきます

秋田県では、10年以上前からえだまめの出荷量日本一を目指し、栽培面積を拡大してき ました。今では全国トップレベルのえだまめ産地になっており、今後は目標をさらにステッ プアップし、栽培面積拡大による出荷量の拡大に加え、品質も高めていこうという動きに なっています。そこで秋田農試では、労働力の確保が難しい中でも高品質なえだまめをい かに効率的に生産できるかを考え、機械化の研究開発に取り組んでいます。その中で、一 番人手と時間を要する選別作業の省力・省人化を図りながら品質を向上させるため、えだ まめの粗選別機と色彩選別機について(株)クボタと共同で研究開発を行ってきました。今 後、2025年の市販化に向け、今年度はシステム化研究会現地実証調査を実施しており、そ の一環として9月5日には関係者に向け広く機械を知ってもらおうと、クボタえだまめコンバ インを使用したえだまめの収穫から、粗選別機、色彩選別機の実演会を開催しました。

9月5日に関係者を集めて、えだまめの収穫から選別までの機械化について現地 検討会が行われた

実演会の最初にはクボタえだまめコンバイン EDC1100による収穫作業が行われた

実証では機械導入する際の経営的な効果も試算していきたい

色彩選別機の試験は秋田農試内で選別精度の検証を中心に行っています。選別に関 しては最終工程で手作業による精選別が必ず必要となりますが、色彩選別機を導入する ことで、作業人数を減らすことが可能であることが分かりました。選別するえだまめは、 良品と不良品の割合が栽培条件や収穫条件で異なり、色彩選別機での作業能率も変わっ てきます。そのため、より効果が高い作業方法について、今後明らかにできればと考えて います。粗選別機については、JA秋田なまはげの園芸集出荷施設枝豆共選場において作 業レーンに粗選別機を組み込みながら、秋田農試がJAと連携して作業性と選別精度の 検証を行っています。

秋田県農業試験場に設置されたえだまめ色彩選 別機KEDS-1C

開発機の活用により生産者が最適な出荷先と出荷方法を選択可能になればと考えています

今回開発した粗選別機と色彩選別機を導入すると、例えば、最良品は高単価で出荷し、良品は軒先で最良品に比べ安く出荷するなど、 生産者がえだまめをどこにどのように出荷するかを最適に選択できる、そのきっかけになる機械だと感じています。県内では共同で選別 を行う共選場が増えていますが、個人で選別をされている生産者もいらっしゃいます。今後、現場の実情に合わせた試験研究を行い、そ の成果を通じて現地に機械の普及・導入を図ってまいります。

色彩選別機の精度を確認する関係者の皆様

実証関係者の声

秋田なまはげ農業協同組合 営農経済部 秋田地区営農センター
センター長 補佐 三浦 雄輝 様

今年の8月から共選場にクボタの粗選別機を試験導入しています

2017年から園芸集出荷施設枝豆共選場が稼働しており、現在JA秋田なまはげ管内 ではえだまめは63ha栽培されていますが、その内約50haが共選場に入ってきます。 共選場では、袋詰めまでに関わる様々な調製機が稼働しています。運用から約8年が 経過し、既存機の更新を検討していたところ、試験場からクボタの粗選別機試しに 使ってみないかと提案を受け、今年の8月から使用しています。

秋田市にあるJA秋田なまはげのえだまめ共選場

粗選別機を共選場のレーンに組み込み、選別精度の検証を行っている

粗選別前のえだまめ

粗選別機に入れたあとのえだまめ

スムーズに粗選別が行えます

クボタの粗選別機は本体のサイズが少し大きかったため、共選場で置く場所を心 配していたのですが、配置場所が決まりラインに組み込んでしまえば大きさは気にな らなかったです。粗選別機で注目して見ている点は、やはり葉や枝、莢の薄いもの、1 粒莢を弾く選別精度です。クボタの粗選別機は流れも非常にスムーズで、しっかりと 葉や枝を弾いており、レーンには大変きれいに流れてきていると感じます。
えだまめは消費者から好評を頂いている野菜で、まだまだ面積拡大が望めます。 選別機械の選択肢の拡充により、良いものを消費者に届けることができるので、生産 者にとってもメリットに繋がっていくと感じています。

秋田市にあるJA秋田なまはげのえだまめ共選場

クボタ技術顧問の解説

株式会社クボタ 担い手戦略推進室
技術顧問 菊池 昌彦

収穫から袋詰まで一連の流れで機械化が行えます

えだまめは全国的にも作付けが進んでおり、水田の転作作物としてえだまめを選択する方が多い一方で、労力がかかることが課題です。 特に、調製作業においては、全作業時間の60%の時間を要しているというデータがあるため、クボタでは調製に関わる「粗選別機」と「色彩 選別機」の研究・開発を行いました。粗選別・洗浄・脱水・色彩選別までを機械化にすることで、選別作業に関わる人員を減らすことが可能 になり、省力・省人化 に繋がると考えています。

まずは安価な色彩選別機から導入して省力効果を感じてもらいたい

従来の粗選別機は、葉や枝くずなどを風で飛ばす風力選別機や振動で未熟粒を落とす形状選別機に合わせて供給機等を要していまし たが、クボタの粗選別機は1台で風力選別、形状選別が行える機械となっています。
また、えだまめ色彩選別機は、クボタが従来から培ってきた米の色彩選別の技術を生かしたセンサを応用することで、両面から色の悪 いえだまめを判別し、高い精度での色彩選別を可能にしました。
従来のえだまめの色彩選別機は高価なものが多く、中小規模の農家ではなかなか手が出しづらい状況でした。クボタの色彩選別機は 従来機より低い価格帯を実現しているため、低コストで高精度な選別ができる機械としておすすめです。
クボタのえだまめ粗選別機、色彩選別機をセットで導入してもらうことが理想の形ですが、粗選別機は既存機を導入されている生産者 の方も多いので、まずは色彩選別機を導入していただき、最終手選別の労力削減につなげていただければと思います。

開発者の声

株式会社クボタ インプルメント事業部  農業ソリューション事業ユニット
農業ソリューション技術部第二部 第二開発室 第四チーム
岩井 一馬

クボタえだまめ粗選別機 KEDS-1Rについて

クボタのえだまめコンバインEDC1100などで収穫・脱莢し たえだまめを、そのままの状態で粗選機に投入するだけ で、葉屑・枝・小石や砕けた豆・薄莢・一粒莢の選別をこの 一台だけでできることがアピールポイントです。 また、作業能率は最大300(推奨200)kg/hなので高能率 に選別作業が可能です。

クボタえだまめ色彩選別機 KEDS-1Cについて

最大処理能力200kg/hで、2台のカメラが莢の両面を同時 判別し、変色莢・黒点莢と一粒莢などの短い莢を高精度に選 別します。今まで手選別にかけていた人数や時間を大幅に 削減することができます。まずは多くの農家様にこの機械を 使ってみてほしいとの想いから、現在市販されている製品に 比べ大幅な価格低減を実現しました。

関連製品

注目の記事

“旬”なキーワード

よく一緒にみられている情報