えだまめ選別機のポイントを押さえた調製により、最終選別人員を削減 お気に入りに追加
令和7年度 全国農業システム化研究会実証調査
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 秋田県の重点品目であるえだまめは、県内で年々栽培面積が拡大しています。それに伴い県では昨年より、中小規模農家の選別作業の効率・省力化を図るため、クボタの “粗選別機” と “色彩選別機” を活用した実証を試験場内で行い、慣行作業より省力化が認められました。
 本年度は試験場での成果について整合性を確認するため、実際の生産現場で選別機を稼働させた実証を進めています。レポートでは、実証に参画している株式会社みずほライスを中心に、さらなる効率作業を目指して、選別機の実証を重ねる秋田県の取り組みをご紹介します。

クボタえだまめ粗選別機、色彩選別機 実演会を開催

実演会では県内の生産者、関係者がみずほライスに集まった

秋田県農業試験場 企画経営室 スマート農業チーム 主任研究員 齋藤 雅憲 様

秋田農業試験場の調査結果では、えだまめ選別機の導入で作業人数の削減が可能

 えだまめ栽培において、収穫後の調製作業は、全工程の約60%の時間を占め、かつ人手がかかる作業となっています。また、えだまめの色彩選別機は、大規模向けの機械はあるものの、中小規模の経営体に適応した機械がありませんでした。そこでクボタでは、省力化や効率化が図れる、中小規模向けのえだまめ“粗選別機”、“色彩選別機”を2025年に発売し、注目を集めています。
 秋田県農業試験場では同選別機を用いた実証試験を行い、作業人数の削減に貢献する機械であると位置づけています。実証試験を担当している秋田県農業試験場の齋藤主任研究員は「2024年度の試験場での調査で、クボタえだまめ“粗選別機”、“色彩選別機”を用いることで、4~5人必要だった調製作業人数を2人減らせるという試算ができました。さらに各選別機の選別性能の調査も行いました。良品と不良品の比率が異なっても設定通りに選別できることを確認し、高い選別能力があることがわかりました」とこれまでの成果を語ります。

みずほライスの調製施設に設置された粗選別機と色彩選別機

 2025年度も継続して実証調査を続けており、本年度は秋田県横手市で複合経営を行っている、みずほライスの調製施設に、“粗選別機” と“色彩選別機” を設置し、実際の経営の中で作業性を検証しています。齋藤主任研究員は「みずほライスの熊谷代表が経営の中におけるえだまめ栽培についてビジョンをしっかりと持っているところに感銘を受け、一緒に試験に取り組んでいます。試験場で行っていた方法と大きな違いはありませんが、実需者に使用してもらうことで、使い方の幅が広がると感じます」と現場での実証に期待を寄せています。

秋田県の農家も注目! 実機の良さを体感できる実演会を実施

 8月29日午後、みずほライスの調製施設には、県内のえだまめ農家を中心に多くの関係者が集まりました。注目は稼働しているえだまめ“粗選別機” と“色彩選別機”です。同日午前中に行われた枝豆販売戦略会議に合わせ、午後からは実際の機械を見てもらおうと、実演会が開催されました。
 実演会に参加された、秋田市の農事組合法人白華の郷の武藤さんは「新しい選別機の実演ということで興味を持ってきました。現在経営は人手不足が深刻化しており、思うように仕事はかどりません。私たちの経営規模で実際に収穫した量をこなせるのであれば、選別作業の軽労化がはかれ、導入のメリットが見えてくると感じました」と感想を語ってくださいました。
 齋藤主任研究員は「横手管内は共同選果場がないため、生産者の中には新しい選別機に対して期待を感じている方もいらっしゃいます。意外だったのは、共同選果場がある地域でも導入してみたいという声があったことです。興味があれば、実物を確認していただき、情報交換をしながら、“えだまめ産地秋田”として県内全域に各選別機が広がれば良いと思います」とえだまめ選別機が、秋田県のえだまめ栽培をより一層盛り上る可能性を示しました。

農事組合法人 白華の郷 代表理事 武藤 真作 様
【経営内容】水稲38ha、大豆20ha、えだまめ7ha

令和7年度実証 新型えだまめ選別機の現地導入に向けた作業性調査 実証概要

生産者の声

代表取締役社長 熊谷 賢 様( 写真左)
生産管理部 部長 柿崎 久則 様( 写真右)
秋田県横手市 株式会社 みずほライス
【経営内容】水稲75ha、えだまめ8ha、菌床椎茸ハウス5棟

えだまめは経営の柱のひとつ。今後は規模拡大も視野に

 「えだまめ大好きなんですよね。今日もえだまめ色の服にしてきました!」とえだまめのほ場を背景に、嬉しそうにコーディネートを見せてくれたのは、みずほライスの熊谷代表です。同社では、通年で従業員に仕事が回るよう、稲作、えだまめ、シイタケの三本柱で経営を行っています。えだまめ栽培については、大豆より単価が高く、個人的にも好きな食べ物ということから続けているそう。「6~8月の作業がぽっかり空いていたので、7年前からえだまめの栽培を取り入れています。徐々に栽培方法も確立できているので、経営の柱としてしっかり機能するように、栽培面積を15~20haまで拡大することを視野に入れ始めています」と熊谷代表はえだまめ栽培の規模拡大に意欲的です。

自分たちが使いこなして、周りの生産者へと広めていきたい

 秋田県の令和7年度システム化研究会の実証調査において、実証農家として参画されているみずほライス。その理由を熊谷代表は「例にもれず弊社も人手不足が課題で、えだまめの選別についても省力化ができる技術を求めていました。そこにちょうどクボタのえだまめ選別機を用いた実証の話がきたので、二つ返事で“やりましょう!”と今年のえだまめ栽培から導入を開始しています」と経緯を語ってくれました。「使用開始時は、どういった設定で進めていいかわからず、メーカーや試験場と共に経営に合った数値を模索しながら運用を行っていました。私たちが使いこなすことによって、他の生産者の方にも広がって行くと考えています」と熊谷代表は今回の実証について期待を寄せています。

色彩選別機の選別性能を確認する熊谷代表

選別機の導入で作業人数は3人まで減らせる見込み

 “みずほライス”の経営理念に惹かれ3年前に飲食業界から農業界へと鞍替えしたのが、生産管理部の柿崎部長です。
 柿崎部長はえだまめの調製作業について「えだまめの出荷時期には毎日収穫を行っており、毎回調製作業に4~5人集めないといけないことが一番の課題です。また、不思議なことに、人の手で最終選別を行うと一生懸命やり過ぎてしまって、良品に該当する莢まで弾く場合があり出来高が少なくなることがジレンマとなっています」と選別作業の課題を上げます。「今回クボタの各選別機を実証で使用させてもらったのですが、省人化と効率化が図っていける体系だと感じました。作業者の調製次第で理想の選別が行えるので、過選別のジレンマは解消されると感じます」と柿崎部長。一番の課題となっていた人数については「うちでもまだ試験段階ということもあり、まだ4~5人で作業を行っています。しかしながらレーンの最終段階ではある程度の選別がされて出てくるので、手数が減り作業者の負担は以前より改善されたと感じています。私のなかではこれであれば3人まで作業者を減らせると考えています」と効率作業に貢献する機械だということが伺えました。

最終手選別を3名に減らしても順調に稼働

粗選別機・色彩選別機 柿崎さん的 ここがポイント!

クボタ技術顧問の解説

株式会社クボタ 担い手戦略推進室 技術顧問 菊池 昌彦

実証農家では粗選別、色彩選別を一連の流れでできるようコンベアでつなげています

 クボタが提案するえだまめ選別作業の基本的な流れは、えだまめコンバインで収穫したえだまめをまず粗選別機にかけます。これで葉屑を飛ばし、土塊、脱粒豆や枝屑を除去、そして莢厚の薄い未熟莢や一粒莢を取り除きます。その後、洗浄、脱水してから、色彩選別機にかけることになります。ただし、生産者によっては収穫したえだまめ(脱莢後)を洗浄・脱水し、粗選別機にかけて、その流れで搬送コンベアをセットし、連続で色彩選別機につなげる方法もあります。後者が今回選別機を試していただいている、秋田県のみずほライスです。

粗選別機導入で省人化が図れます

 クボタ粗選別機導入のメリットとして、機械の静音性と処理能率の向上(従来体系比)があります。そして、粗選別機に常時人員を割く必要が無くなること(供給時と脱莢不良品対応のみ)、また葉屑・枝屑・脱莢不良品を機械選別するため、選別者の軽労化に寄与できることから、従来体系からの更新需要に対応していけるとの声もあります。

クボタえだまめ粗選別機なら、えだまめ供給後は機械に任せて他の作業をすることも可能

色彩選別機の設定ポイントは、「感度」と「速度」です

 色彩選別機の主なポイントは2つあると思います。1つ目は、オートチューニング機能を使用した選別感度の調整です。始めに良品10莢を2回流すことで良品と判定する莢の明るさを機械側に記憶させた後、微調整を行います。感度は、黒点・斑点・茶変に対し別々に9段階で設定でき、初期設定は全て「5(基準感度値)」となっています。実際に莢を流して、思っている以上に良品がはじかれたら、感度の数値を下げます。一方、逆に不良品がはじかれないようなら、感度の数値を上げます。何回か調整して、選別感度を決定します。
 2つ目は、色彩選別機の速度設定です。最終手選別人数が例えば4 ~ 5人いて、その日の出荷数量をできるだけ多くしたい場合は、色彩選別機の供給速度をできるだけ早くします。一方、選別人数が3人程度と少ない場合は、速度を落として供給します。なお、良品が多く、手選別の手間が省ける場合や出荷時間に合わせ、選別感度を上げた状態で良品を優先して回収したい場合は、供給速度を速めることが出来ると思います。いずれにしても従来体系よりも最終手選別人数は減らすことが可能です。
 本年度のクボタのえだまめ粗選別機と色彩選別機の実証調査結果において、選別作業の省力化・省人化が図られ、ひいては規模拡大につながる方向性が見いだせることを期待しています。

設定の数値について確認する菊池顧問と熊谷代表と柿崎さん

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